ナイツ社のナイフ


photo by Tomo


☆銀の騎士☆

ナイツ社から素晴らしいフォールディングナイフが、ほどなく登場する。

その名も「スィルバーナイト」銀の騎士。燦然と耀く美事な大型のファイティング フォルダーだ。



多くのガンメイカーが、それぞれにオリジナルのナイフを出している。ナイフとガンは造り方が異なるために、本社ではなく傘下の会社を設立し、そこで造るのが普通だ。

S&Wやコルト社は台湾、ヘックラー&コッホはドイツのボーカー社。ベレッタ社は日本の岐阜県関市で、といったように世界中でファクトリーロゴ入りのナイフが造られているわけだ。


photo by Tomo


ナイツ社に対するナイフの要望も当然多く、リード社長自身の設計からなるミリタリーナイフの企画はあった。

このナイフはハンドルを回すと、あるギミックが現われ、それを使うとある便利なことができるので戦場で役に立つというものだ。

すでにメカへのパテントは下りているが、ブレイドの形状やサイズがまだ決定していないので発表は先々のことになる。

では、その前にファイティングナイフを造ろうという企画が持ち上がった。社長は新しい銃(カッコイイ新銃だよ!!) やサイレンサーなどの設計で忙しいが、息子のトレイ副社長がナイフ好きなので計画は進んだ。

トレイさんは、美術学校を出ているので物の形や品質には父親なみのウルサ型だ。ナイツのブランドでナイフを造るなら他所のどれよりも高級でなければ造る意味などないという考えを持っている。

マイクロテックのナイフは世界でもトップクラスのクォリティーとして有名だが、そのマイクロテック社のロゴマークはナイツ社に依頼されて打たれている。そういう関係なのでナイツ社はマイクロテックのナイフにナイツのロゴを打ってクライアントにプレゼントすることがある(すごいレアモノよ)。

そういう背景やイキサツからナイツのナイフは他を圧倒するような最高の品質とデザインでなければ世に出せないという難関が存在していた。その難題ゆえにナイツのナイフは出遅れていたのだった。


“・・・ねぇ、リードは日本のCNCマシンが一番だと言うし、乗っているクルマはレクサスとホンダのNSXなんだし、そんな日本好きだったら日本でナイフを造ったらどうです?日本のセキという所は、イタリアのガルドーネが銃の町であるように、日本ナイフの伝統の地ですから、きっと高品質な製品を造れると思いますがね・・・”

去年のショットショウでの雑談のとき、ナイツの社長にそんな提案をした。ワシは、ちょっと古い日本製のアルマーナイフを数本持っているが、デザインと造りの良さに大満足している。あぁいったナイフならナイツも気に入るのではないかと思ったのだよ。

するとリード ナイトさんは天井を見上げながら少し考えていた。

そして、

“グッドアイディアだ! やろう! 日本とのコネクションは君に任せるからな・・・”

と、あっさりGOを出してしまった。

任せるってアンタ、ワシはナイツの広告写真の係であって、関のナイフ関係者に知り合いなど一人もいないのよ。

そこで会場に来ている山下刃物のヨシを探し、関のナイフメイカーはいないかと尋ねた。ヨシはアメリカでナイフファイトのクラスがあれば必ず習いに飛んでくるという行動的なナイフ屋なのでワシは好感を持っている。

そのヨシは、キクさんという人と、スエタケというメイカーの人を紹介してくれた。二人ともショットショウに来ていたので話はアレヨという間に進んだ。後になってキクさんという人は関でもピカイチの名人職人なのだと聞いた。

ナイツのナイフを手がけるのは光栄なことだと、キクさんもスエタケさんもヤル気を見せてくれたので製造部門は即決定した。

日本で造るから立派なモノができる。それは確実なことだった、が、その時点ではデザインが決まっていなかった。ナイツのナイフを想像してもカタチは何も浮かんでこないというブランク状態だった。

それから数ヵ月が経った

スティーヴ ライアンが1梃のフォルダーを完成させた。


それが、これだ!!

強い個性を発散するライアンのコンバットナイフは世界的に有名だ。すでにコロンビアリヴァー社はライアンのM7のライセンスを取得し台湾で造って販売している。

ナイツも、そのファイティング フォルダーの「鬼才」にデザインを依頼したのだった。

ミリタリーガンのナイツ。そのイメージを大切にして造ったというライアンの力作。

それは観る者を感動させずにおかない美事なナイフだった。


その曲線と直線の構成は際立った個性と鋭い佇まいを見せている。

突いて鋭く、裂いて鋭利。きわめて破壊力の高い格闘用ナイフだった。


そのオリジナルはセキに届けられ綿密に検討された。特に難しいのは5面削りのブレイドだったという。サシミ包丁のように片刃になっていて、平らな方には角度を付けるための平面削りがあり、表側には周囲4面に渡って削りが入っているのだ。

想像だにしなかった、そのデザイン。その技術。ライアンの真髄に触れた関の名人達も唸りを発したそうな。

やがて数梃のプロトが造られ、ナイツ社に送られた。


左がリード ナイト社長


副社長のトレイ ナイト

ナイツの社長も副社長も、その品質の高さには満足し、これならナイツの名に恥じない製品だと決定を下した。プロトではブレイドを開くための穴がペンタゴンを象徴する五角形だが、スコープマウントのナットを回せるレンチにしたいというリード社長の要請で、穴の形は六角形へと変更され、ハンドル周辺のエッジに丸みをつけたりなどの小さな改良も加えられる。ここでは市販モデルが間に合わなかったがナイフマガジンの締め切り前には完成するそうだから、ナイフの好きな人はアッチのほうも読んでほしい。

なお、日本では「ナイツ ジャパン」という会社が設立され、ナイツ社の認定エイジェントとなるそうだ。


photo by Tomo


━━コンバットマガジン2002年2月号より━━


闘作by マロンパ

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