スティルチャレンジは、このISI射場から始まった。
イチローはこの丘をISI富士と呼んでいた。
この広大な土地は射撃の好きなオーナーが運営していたが他界し、やがて土地はユダヤ人によって買われた。
そして射場の使用料やメンバー会費が吊り上げられ、いくつかのクラブが辞めてしまい、メンバーも激減したという。
ISIを長年にわたり運営していたマイク ドォルトンがユダヤ人オーナーに愛想をつかして逃げ出して以来スティルチャレンジも閉鎖されていたが、今ではマイク セティンという古くからのシューターによって月例試合が再開されている。エントリー料金は30ドルで中部キャリフォニアとはちがいジュニアシューターからも同額を徴収するが、オーナーからかなりの割合を徴収されるのか運営はかなり困難そうにみえる。
それでも、ここは伝統的な射場であるのとロサンジェルスでは唯一8ステイジの撃てる試合場とあって参加者は多くシューター達のレヴェルも高い。
朝は8:30分の集合をめざして射場に着く予定だったが、どういうわけか入り口のオフィスで料金を払うようにという達しがあり、そこには50人ほどの行列があった。
どうしてこんなに並ぶのかと聞くと
「ここには50もの射場があって、みんながチェックインするのだから当然じゃないの」と下品そうな係員が応えた。
しかし、並んでいる人たちに聞くと、こんな長い行列は初めてだと口々に言う。
普通、複数のクラブや試合がある射場では、それぞれが撃つレンジで直接にチェックインするもので、並んでも数名ほど。そしてここも以前はそうだった。
行列はノロノロとしか進まず、ここで1時間以上も立ち尽くすこととなった。運営の改悪に皆が怒っている。
もしも次もこんなバカバカしい行列に並ばなければならないのなら遠くから来る価値もない、とイチローは想った。
ここのオーナーはどうかしている、
このまま長くは続かないだろう。
当然ながら試合開始は遅れていた。 疲労感ですぐには撃ちたくなくなっていた。
だが、なんとか気をとり直してマッチは始まった。 タクマは最近ゲットしたご自慢のMPXのピストルで参加する。いかにも速く撃てそう・・なのだが、バレルが短いために手前を握ることとなり、長モノのように鋭くは振れないという難点がある。さすがのタクマも精彩を欠いていた。そして試合開始が遅れたために、時間がきたら帰る必要のあったタクマは途中で棄権することに😓
なんてことだ。
昔から熱心そのものな射撃仲間だった女性のロンダさんも我々のスクワッドだった。最近になって旦那さんを亡くしたのに気丈に撃ち続けている。
ロンダの友人、エリザベスは3回目のエントリーだという。22口径のライフルは高級品ながらストックが長すぎるので撃ちにくそう。途中で見かねてバットを外してあげたら少し楽になった。
サクラメントからの出張がてら初出場のミゲルさん。XDカスタムで撃っていた。この他にXDを使うイケちゃんという男もいたが動画ばかり撮っていたのでフォトはない。
ケニーには固く期するものがあった・・・
それは、ロサンジェルスで70秒を切ること!!
これを目標として1ヶ月間の練習があった。
速くなくていい、確実に70秒を切る。
キャリフォニア州のレヴェルでは70秒を切ると勝てる確率は高い。上級シューターでも72秒あたりでダンゴになるのが通常だ。9ミリライフルのシューターにとって70秒が音速の壁だと想われる。
ケニーは、65秒を切る能力を秘めている。
しかし、それを狙うと大きくコロブ確率も高くなる。
まずは手堅く70秒を切ってみせる能力がほしい。
それが外の世界で出来るかどうかを試したくて80ドルのモテル代と90ドルのガソリン代を支払っての試合参加なのだ。
やれやれ、武者修行はカネがかかるよ💦
「けして1つのことだけに固執するな」 父はいつもそう言う。 肩への押し付け、ストックの長さ、シュラウドの握り方、足の開き・・そういったことに固定観念をもたず、常に見直しをするべし!! 最近のケニーはストックをかなり縮めている。直角のグリップはとくにお気に入りだ。 しかし、このマッチも始まりは練習どおりのスピードは出なかった。ミスショットも出る。だがリカバリーの速さで凌ぐという展開から始まった。
調子は落ちている・・とはいえ、70秒シューターの射撃は抜群の速さに見える。上手い普通人は90秒前後で大型トラックとスポーツカーくらいの差があるのでヤンヤの歓声があがる。
他のどのシューターよりも細く、まるで犬の首輪ほどのベルトを締めたケニーはかなりのプレッシャーを背負いながら大人たちの世界に切り込んで行った。
前回のロサンジェルスには有名なチャンピオンクラスのジュニアシューターがいた。それが、このニコラス君だ。知らなかったが、彼は前回のステイトマッチにも参加していた。そんな彼は22口径ライフルを撃つのだが、ケニーの出した9mmでのタイムは彼よりも速かった。これが話題になったらしい。そしていつのまにかケニーとニコラスはネットで友人になっており、この試合で会うことを約していたのだった。 互いの撃つところを見合ってドキドキしていたという。
突然に現れた強敵に対しニコラス君は良い笑顔で接してくれる。そしていつも彼に付き添っているという母親も強いライバルが出てきたおかげで息子がシャンとなったと話しかけてきた。このティームのリーダー(マイク セティン)もケニーを誇りに想う、と公言する。
さすがアメリカにはスポーツマンシップが浸透している。
日本から来たスティルチャレンジャー達がマリーンのクルマに「ファッキンジェット」などと寄ってたかって落書きした事件を想い出すに、いまさらのように腹が立つ。ちなみにジェットとは当時フィリピンから来たトップシューターで礼儀正しい少年だ。
ケニーは、試合途中でヨレヨレになりかかったが、気力を振り絞るように全コースを撃ち終えた。前回に大失敗したスモホもキレイに撃てた。
これは翌朝の顔だ。
9時になっても起きてこないので見にいったら、こんな顔で眠り込んでいた😁
・・まだ13歳の少年だ、
さぞかし勝負の厳しさが沁みただろう・・・
出したタイムは68秒代(まだリザルトは出ていない)
念願の70秒を切り、疲労困憊の寝顔だ。
「よくやったぞケニー!!」
大事件ですね、ホント。
私が銃の世界から離れていた頃の話らしく、イチローさんが以前に書かれた事以外では知りませんでした。
そういう無分別、無思慮な事をする原因は、日本人としての自覚が無いからです。
海外では当然として、日本でも海外の人と付き合う場合、自分の言動が日本人として捉えられるのです。
そして、もう一つ、日本人の特性である、排他的な集団を作りそれ以外の人間と交わらない事。
そう言った少人数の日本人グループが昔からの憧れの本場スティールチャレンジに参加したらどうなるか、想像に難くないです。
興奮、緊張、不安、周りにいるのは分からない言葉を話す人ばかり…
「日本人と違い打ち解けやすい性格のアメリカ人、ジョークも好きだし、じゃ俺達も少しばかり…」
などとなったのではないでしょうか(溜息)。
幕末(?)、欧米使節へと渡った武士は英語は出来ぬども決して蔑まれることなく、
おおいに敬意をもって接してもらえました。
なぜ?
幼少より武士道により育まれ、相手と場合がどの様なものであれ、礼節を尽くして接したからです。
件の日本人シューター達、
日本人としての自覚が無い理由は英語が出来ないからでしょう。
英語以外にも理由はあるでしょうが。
日本人は自我、自覚、identity、個性、がハッキリしていません。
こういうものを目覚めさせるには、外国語が役立ちます。
ヨッシさん 恐れ多いですぅ。^_^
ヨッシさん 恐れ多いですぅ。^_^
ヨッシです〜。 だみあんさん、同志と呼ばせてくだせえ!
イチローさん 私もケニーくんのサイン頂きたいです。 私もイチローさんとダブルがいいな。 帽子だったら私もNRAがいいかな。 ケニーくんの活躍がますます楽しみになります。