CZ-75




       ☆ショートレイル☆

CZ75の「ショートレイル」というヤツをいつもいつも捜しているのだけれど、コイツの姿を見つけるのは困難そのものだ。

この幻の名銃は、アメリカ大陸広しといえども300梃存在するかどうかなのだよ。

このあいだガンリストという銃の広告誌の売買欄で「CZ75ショートレイル···その他CZ関係ウンタラ」というのを見た。

ヤッター!と、いうよりも速くデンワに飛びついていたよ。

“ハロハロ、 広告にあったショートレイルはまだありますかねー?”

と、聞いたのだ、すると、

“持ってはいますがね、私の広告は買いたい方の欄のハズですよ、もっとショートレイルを私が欲しいワケですよ···”

“エッ?アッ、ホントだ 、買いたし欄でしたねこれは···イヤーすみません、ショートレイルと聞くとつい興奮してしまって···”

“はーい、判りますよアナタの気持ちが、じっさいショートレイルというヤツはめったに出てきませんからねぇ···”

ダハハハ、チと恥ずかしかった、がCZコレクターとハナシができて楽しかったナ。


「ショートレイル」というのは、スライドとフレイムのかみ合う溝が短いという意味でCZ75の初期モデルのことをさす。

この銃はチェコスロヴァキアのCZというファクトリーから1975年に発表された。

CZは「チェスカ ズブロジョヴカ」の略だ。が、じつはチェスカのあとはデタラメ発音、ワシは正しい発音ができないのさハハハハ、スマン···。

CESKA ZBROJOVKAと書き、この発音をミロスラヴ デュダというCZの社長から直接に習ったことがある、なのに日本の文字で書けないのだ。

ともあれ、

ZBROJOVKAは武器工場という意味で「チェスカ」はチェコのことだから、CZというのは「チェコ銃砲工業」なのだということになるのだよ。

チェコとスロヴァックは本来ふたつの国だったのだが、なにかのことで合体していた。しかしソ連がダウンしてからこの国は再び別れた。CZはプラハの側、チェコにある。

さてさて、そのショートレイルだが···

モノの本によると造られたショートレイルは2万梃以下だと書いてある。とても珍しい存在なのだ。

とくにアメリカには少ないので手に入れるのは幸運とコンジョがいる。

なぜ、アメリカに少ないかというと、ショートレイルが世界に輸出されだした1977年のころ、チェコスロヴァキアはソ連の隷属メカケのままだった、つまり共産国というアメリカの敵だったのだ。

そのころアメリカは共産国との武器取引を禁止していたというワケだな。

CZからすごいオートが出たというウワサだけはヨーロップから流れてきて、じっさいに触れた者がアメリカにはいないという状態がしばらく続いたもんだよ。

しかし、ジャの道はヘビというか、ヤブからヤブへとショートレイルはどこからともなくアメリカに忍び入ってきたんだ。

個人輸入というカタチをとってカナダやサウスアフリカから細々と入ったり、コソコソッと持ちこまれたモノもあった。

そうこうするうちにアメリカの「ガンズ&アンモ」という銃雑誌が手に入れてテストリポートを発表した。それは、

“この素晴らしい銃にも欠点がひとつだけあります、それはグリップの材質です。熱いライトで照らしてフォトを撮っていたらグリップがグニョリと柔らかくなったのです、しかし、銃そのものはまぎれもなく最高の完成度であります···”という内容の記事だった。

続いて「ソルジャーオヴフォーチュン」という右翼色のつよい雑誌は、

“この銃の問題点はただひとつ、CZ75は「共産国製」だということである···” と、記事に書いたのだった。

共産主義を嫌う有名誌がそんなことを書くのだから、よほどテスト結果が良かったのだろうと読者達は判断した。

では、CZ75のどこが良いのか?

それは、鋭く核心をついたそのディザインにある。

それまでのオートは、ベレッタのようなダブルアクションかコルトガヴァメントみたいなスィングルアクションのどちらかだった。

ダブルは初弾のトゥリガープルが長くてイヤだとか、スィングルアクションはハンマーをコックしてホルスタに入れるので危険だとか議論の絶えることがなかったのだ。

そんなところに現れたCZ75は、ダブルでもスィングルでも、どっちでもドーゾというメカニズムをもっていたわけだナ。

ハンマーを落とせばセフティーをかけることができず、まるでリヴォルヴァのようにトゥリガーを引っぱるだけでタマが出るので、セフティーの解除忘れという心配がない。じっさい、ダブルアクションのセフティー忘れで強盗に撃たれたポリスもいてモンダイになったこともある。

そして、コックアンドロックという、ハンマーをコックしてセフティーをかけるのが好きな人は、そのようにして携帯すればよいのだ。これはモンクなしの機構といえる。

さてさて、

だいたいにおいて、リヴォルヴァを持った人はリヴォルヴァを、ガヴァメントを買った人はそれをというふうに、とにかく自分の持ってしまったモノは良い物で他人の物はダメなのだと決めてしまうという心理が人間にはある。

いったん得た知識は正しいと妄信し、新しいモノやできごとにたいして背を向けるタイプは世の中に多い。

そうすれば、新しいことを吸収する精神的努力はいらないし、買えないというミジメさから逃げることができるからだ。

そしてそれは決して悪いことではない、そうやって自分なりに幸福な気持ちになればケッコーなのだ···なに?君はそんなのゼッタイにイヤだって?よーしっ!じつは、ワシもそうなんだ。他人のそんなやりかたは許しても自分だけは現実直視で生きていこうとガンバッているのだよ。

で、

そういった、自称ウルサイ人とか、凝り性タイプとか、コルト党とかS&W党とかルガーバカといった人たちでもCZ75の素晴らしさは拒否しがたく、だんだんにCZの人気は高まっていった。

たしか、“ CZなんぞよりもスペインの銃が良い···” と書いた記事もあった。ドハハハハハハ、それはガメラよりもスッポンのほうが強いと言うようなものなのだゼイ。

それはさておき、

そういうアメリカにあって、ひたすらにマボロシのCZ75を追い求めた道楽野郎がいたのだった。

スィングルでもリヴォルヴァでもダブルでもウエスタンでも、タマの出るものは、いや銃のカッコをしたものはみんな好きだという不治のヤマイ男で、ナニナニ党にも属さず、「良いモノ党アララギ派」というカンバンをかかげ、一日に少しの野菜と玄米とミソとわりとたくさんのサシミを食べ、東に硝煙がたてば出かけて行って撃たせろと言い、西に銃の名人あらば教えを請い、南でケンカがあれば終わるのを待って銃を拾って持ち帰り、北に銃を欲しがる者あれば、バカらしくないから買いなさいとけしかける、そんな人に私はなりたいというほどの野郎なのだった。

ある時その男、幸運にも待望のCZ75にめぐり逢ってしまった。

しかし当時の価格で1,300ダラ、日本円で30万円というハイプライスだった。コルトやベレッタが8万円のころなのだからすごい値段だったのだよ。

しかし、男は迷わず買った。そしてFBIのトレイニングに参加、2000発をまたたく間に撃ち、その信頼性の高さに惚れこんだのだった。

その後、CZ性の七十五番騒病に感染したその男、ミヤザワケン市郎はさらにCZ75ショートレイルの姿を求めた。

CZを持っている者を見つけると札束で横ツラを張って気絶させ、そのすきにCZをはぎ取る、むろん札束もだ、と、いうくらいのことは平気でやって···オラーンけど、とにかくヒッシに捜したのだった。

そのカイあってか、今、ワシんとこには4梃のショートレイルがあるのだ。ゴメーン!シヤワセでごめーん!

なんで同じ銃を4梃も?

ウーン···ショートレイルというヤツは、手作業いっぱいで造られている、ので、同じようでも細かに鑑賞するとすごく異なった味わいをもつのだ。削りかた、カットのしかた、磨き方、ブルーの色調、刻印の打ち方などなど個性豊かなのだよ。日本刀みたいなところがあるんだな···というのは少し言い訳がましいかな。単純に「撃ち用」「見せ用」「触らせ用」「飾り用」とに分けるため、と言ったほうが当たっていたりして···でも、じつはショートレイルを見つけると買わないではいられない、それだけのことなんだよ、ショードーにカラレルとゆうヤツよ。


あの、ナイフでえぐり取ったようなトゥリガーガード上部、フレイムもろともスッパリと薄くカットされたスライド前部···その思いきりの良さと強硬なまでの攻め味が、ワシにとってはたいへんな魅力なのだ。












それと、これはガンスミスの巨匠といわれるジム ボウランドとの会話からの影響も強いのだとも思う。

こんなことがあったのだ···

“あのなイーチ、CZ75という銃があってな、そいつに使われている鉄はアメリカにもヨーロップにもない性質の物で、それがすごいんだよまた···”

と、ボウランドが言った。この人は鉄の組織についてモーレツに詳しいのだ。

“あ、そう、よかったワシ持ってるもんネ”

“イヤ、ちがうんだよ。アメリカで売っている今の「手抜きCZ」ではなく、旧型のモノでアメリカではまず手に入らないヤツのことだよ···材質がちがうんだ”

“だから、それを持ってるんだよワシ···”

“イヤ、あのな、だからオレの言うのはそこらにコロがってるCZじゃなくて、アノ···”

“ショートレイルでしょ?初期型でしょ?”

“イヤ、アノ···それはそうなんだが···持ってるのか?ホントに持ってるのか?マチガイかジョーダンかウソかのどれかだろ?”

ボウランドは信じてくれなかった。

“議論はやめよう、あとで判るよ”

そう言って話題を変えたものだった。

そうして次にボウランドに会ったのは試合場でだった。休憩中にボウランドはワシのモーターホームに遊びに来たのだ。

“ホラッ、CZ75のホンモノっ!”

と、ワシは巨匠の鼻ズラ1センチまでショートレイルを突きつけた。

“ウッ、まさしくショートレイルだ!なんということだ、ホントだったのか!”

“こんなコトでウソなどいうか!”

“ウムムム···みごとなものだ!なんという肌ざわり、そして質感···中を見たい···”

ボウランドはていねいに分解した。そして部品をひとつひとつ眺めまわし、やがてバレルでスライドの内側を撫でた。

“なんという響き、これは音楽だ···”

と、ウットリとした表情になっていた。

“音がちがうの?”

“ウン、上質な鉄だけが奏でる音なんだ”

“鉄なんてみんな同じ音だと言ったヤツがいたけど、そんなもんじゃないんだ?”

“どこのバカがゆーた?”

“知り合いのガンスミス···じつは、ワシCZとSIGは素晴らしい音がすると言ったんだよ、そしたらそいつはバカゆーなとバカにした顔でバカにしたんだよ”

“イーチ、鉄というのはな、もう大変な種類があるんだよ。性質、個性、千差万別というヤツなんだ、複雑なんだぜ···ホラ、この擦れるときのガラスのような音と感触···たたいたときの高くて長い余韻···いいだろう···ナ?”

そう言いながら、ボウランドは顔をかたむけてチィン、チィーンとショートレイルを演奏したのだよ。

「一片の鉄塊からいかなる物でも創る男」と専門誌に書かれたボウランドが、目の前でショートレイルに聞き惚れている━━それを見たら誰だってこの拳銃を信じてしまうもんだと思うだろ?それでワシもいっそうショートレイルのトリコになったのだ。


拳銃にはタイプがあるのでどれが一番良いとは決めがたい、が、自分なりに一梃を選ぶ必要はどうしてもあるんだ。

ショートレイルは15年もの間、毎晩ワシの枕の下で用心棒を勤めているのだよ。


左側のものは現在アメリカで売られているCZ75、けっこうキレイだね。

ショートレイルのモンダイ点だった熱に弱く油に侵されやすいグリップはカタチまで改良されている。これは良い。

もうひとつのショートレイルの欠点はハンマーにハーフコックがないことだ。このためにハンマーダウンのときハンマーがファイリンピンの尻にタッチしているという少しキケンな状態なのだ。つまり強烈にハンマーをたたけばファイリンピンがプライマーに火を点けかねないというワケだ。落としたくらいで暴発する可能性はすごく少しだとワシ思うので心配してないのだがね···それに、CZ75を地面に落とすとき、それはワシが死んでいることを意味するっ!···ぬわーんちゃってカッチョいーなぁ、ワッハッハッ。

ともあれだね、

今のCZ75にはハーフコックがしっかりとあるのだ。そのハンマーをショートレイルに組みこむこともできるし、オリジナルハンマーにノッチを切れば、それでハーフコックもできるんだ。そのうちにやろかな。

さーてさて、このショートレイルをMGCが出すという情報がある。この記事がコンバットにのるころは発売しているかもしれないな。そして風のウワサによると、あのウエスタンアームズの素晴らしいメカのほうも出てくるとかなんだとか···。

ワシとしてはそれが楽しみであると同時に心配でもあるんだ。

仕上げをね···あの、なんともいえないバフの精妙なヘヤラインやトゥールマーク、それにフラジルなまでの繊細に輝くブルーをどう再現してくれるのか、そこがすごーくシンパイということなのさ。

一見まっ黒な拳銃だが、肌の色調と感触はそれぞれにちがうのが本物の世界。ナマのプラスティックまる出しでなく、特殊金属コーティングなどのハイテック技術を駆使36してチャレンジしてほCのだよねー。

 じゃ、また!イーチ。



━━コンバットマガジン1995年1月号より━━


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おお~っまたっせしますたぁぁーっ‼

“〆(^∇゜*)♪ヤットオワター


泣く子もダマッて聞き惚れる「チィン、チィーンのショートレイル」の闘作とUことで、75回くらい読み返しますた・・・ので誤字脱字は市文字もナイっ・・・とイイのだすが~(^o^;)


by 良いモノ党アララギ派にアコガレるルガーバカ


Date: Sun, 26 Jul 2020 14:05:22 +0900


by マロンパ


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